心を考える、ということは、それを機能としている脳を考えることでもあります。
しかし、あんまり心理学では脳について触れないので、私は物足りないなあといつも思います。なので、ここでは、ちょっとだけ脳について説明しましょう。
脳はたくさんの神経細胞からなった、でっかいネットワークの塊です。細胞一つ一つをコンピュータと考えれば、それはラインでつながったインターネットに似ています。
その神経細胞では、インパルスという電気を情報として扱います。その扱う内容によって脳を2つのパーツに分け、ひとつを「大脳辺縁系」、もうひとつを「大脳新皮質」と呼びます。
「大脳辺縁系」は生きていくことに必要な呼吸や心臓などをコントロールし、逃げる、食べるなどといった本能的な「情動」をつかさどっています。
「大脳新皮質」は感覚や知覚と共に、人間らしい発想をしたりする時に働いているとされます。
ここで、この大脳辺縁系と大脳新皮質の関係を図にしてみましょう。
たとえば、何かをしたい、という情動があったとします。その、したい!という気持ちは辺縁系にある帯状回によって動機付けされ、どういう風にすればいいのか、新皮質がそれを考えます。新皮質はこれまた辺縁系にある海馬に、昔ならこのときどうした?と尋ね、海馬は脳の中のでっかい図書館を探して、昔ならこうしたよ、と教えます。そしてまた、それが適切なものだったのかどうか、これまた辺縁系にある扁桃体で判断し、ダメだったねえ、とかよかったなあ、という価値判断を行います。この過去データと判断をもとに、新皮質が新たなプログラムを作り、それを実行に移す、というわけです。
脳の思考機能はこのような形で成り立っているといわれています。では、続いて「新皮質の知覚・認知機能」についてみてみましょう。
知覚の機能は脳の場所によって異なります。その機能分けを「~野」という名前で呼んで、その場所も明確にして「脳の局在性」という形でよく表します。
目からきた信号、耳からきた信号などというそれぞれの資料は、それぞれ上の図のように特定の場所へと集められ、処理され、コントロールされます。図は左半球のですが、もちろん右半球にもおんなじような物がみられます。両方まとめてしまいましょう。
それぞれで処理されたデータは、別のセクションに行ったり、左右の脳を行き来したりして、最後にはまとめられ、見た!聞いた!と知覚したり、喋るという運動になったりするわけです。
これ全体のコントローラー、つまり、責任者は前頭葉です。全体のプログラマーとして複雑な行動を時間・空間的にまとめ、実行に移すのがその役割です。今までにない行動のプログラムを作る、それがまさに創造です。
ですので、前頭葉が障害を受けると、計画性がなくなったり、責任感が薄くなってしまったりして、人格が変わってしまうことがあります。
かなり荒っぽく脳について書いてみましたが、人の心はこういうスタイルの中で生まれ、そして、育まれているのです。
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